2012年12月23日

志茂田景樹先生の「よい子に読み聞かせ隊」

むかし、むかし、あるところに、たいへん心根の優しいおじいさんがおりました。
おじいさんはいつも、男か女かわかんないようなハデなピンクや黄色の花柄などのお洋服を着て若いのか年寄りなのか、はたまたどこの国の人なのか不思議に思うような七色の髪の毛をしていました。

そのせいで周りの人たちからはただの「ヘンな人」と思われ、からかわれ、キワもの扱いをされていました。
それでもおじいさんはいつだって、小さい子供から悩める大人までみーんなに優しかったのでした。

おじいさんは、書物を書くことを生業としていました。
その内容には、地球に生きる喜びや、みんなのしあわせを祈るメッセージが込められていました。

ですから、同じように明るく優しいおばあさんや楽しい仲間たちと一緒に子供たちに絵本を読み聞かせたり、歌を唄ったりして全国を旅していました。

そのうちにおじいさんの優しさが見えてきた大人たちが、いろいろと悩みを相談するようになりました。
おじいさんはいつだって、誰にでも、弱った心に勇気を与えてくれる言葉をかけてくれました。

そしてだんだんおじいさんの優しさが、水面を揺らす波紋のように日本全国に静かに広がってゆき、たくさんの落ち込んで暗くなった大人たちの心を明るく救っていきましたとさ。


―ということで、行ってきました。
志茂田景樹先生の「よい子に読み聞かせ隊ライブ」!

場所は新宿にあるポプラ社の本社。
ここでは毎月一回、先生の読み聞かせ会をやっています。

さてさて、なぜ私が志茂田先生の読み聞かせに行くことにしたのか?
それは雑誌に載っていた先生の人生相談のコーナーを、たまたま読んだことがきっかけでした。

先生のツイッターでの秀逸な返答が話題になっていると噂には聞いていましたがあまりツイッターなどしない私はよく知りませんでした。

でも人生相談での先生の回答に、何かこう、心に響くものがあり興味を持ちまして、いろいろ検索してみました。

以前先生が「黄色い牙」で直木賞を取りTVによく出演していたのは知っていましたが、最近は何を書いているのか全く知らなかったのです。

そして絵本を書いて奥様やボランティアの方々と「よい子に読み聞かせ隊」として、全国行脚なさっていると知り驚きました!
HPを覗いてみると、本当にたくさんの作品が!
しかも挿絵まで描いている。

思わずどのような内容なのか知りたくて、一冊購入してみることに。
どれにするかいろいろ迷ったのですが「まんねんくじら」という作品を。

ちゃーんと先生はサインを入れてくれるのですよー

内容は緑の地球を大切にしていこう!というメッセージの込められたものでした。
先生の絵もとてもダイナミック。

「うーん、これは読み聞かせ、体験したいっ!」

昼間の平日だったので、友人とふたりで有給休暇を取って行きました。

ポプラ社はホテルのようにキレイな建物で、読み聞かせの会場もちょっとした披露宴会場のようなホール。
会場に入っていくと先生がすでにいらして、ホワイトボートに本日のメニューを自分で書いていました。

で、とにかく足を踏み入れた途端、アットホームで和やかな雰囲気。
決して「ジャーン!有名人の読み聞かせ」という感じは無かったのです(あとでわかったのですが受付は奥様でした)。

だって、そもそも電話予約なんてナシ、当日会場へ直接行けばOKという気楽さ。

だからママ同士「今日はお天気いいから、行ってみる?」なんて気軽に参加できますね。

お客様はまだ0歳児〜4歳児くらいの児童を中心に、ママさんたちも含め30人くらい集まりました。
中にはツイッターの影響か、スーツを着た会社員らしきミドルエイジの男性も1人交じっていました。

読み聞かせ隊メンバーは朗読を60代くらいの女性4人とピアノ伴奏の方が1人。
集まった子供たちはすでにじっとはしておらず、会場中をワーワー、バタバタとはしゃぎ回りすでに保育園の運動会状態。

やがて時間になり、先生とメンバー全員で「てのひらを太陽に」を唄い始めました。
先生やメンバーも振り付きで元気に楽しそうなので、子供たちと共に私たちも思わず引き込まれ、一緒になって振り付きで唄ってしまいました〜(ノせ上手なのか、ノせられ上手なのか・・・)

そのあとダイナミックな「春の小川」のピアノ演奏がありいよいよお待ちかね、絵本の読み聞かせが始まりました。


「おおきなかぶ」
「あわてんぼうのうさぎさん」
「あたしもすっごい魔女になるんだ」
「ころわんはお兄ちゃん」
「まるぱんころころ」
とメンバーの女性たちが順番に、絵本や紙芝居で読み聞かせをしていきました。
途中途中で、唄ったり、優しく子供たちに語りかけたりしながら・・・。

子供たちはもちろんよい子に座って聞いてなんかいません。
でも先生もメンバーも、自由にさせていて、ママさんたちも子供を見守りつつ、一緒に安心して楽しめるとても温かな雰囲気。

その中で先生は、子供たちと同じくらい自由で、
一緒になってウロウロ歩き回ったり、床に座って聞いていたりしていました。

そのせいか子供たちもあんなハデなおじさんを怖がらず、
フツーに仲間(?)として受け入れていたようでした(笑)。

最後に「よっ、真打ち登場!」ってなカンジで先生が、大型絵本の「おばけの天ぷら」を。
「これはコワーイ本なんだよー」なんて脅かしながら
モー、身振り手振りで楽しそうに全身で読んでくれました。

子供たちはすっかりそれぞれ仲良くなったりして和気あいあいの中、あっという間に楽しい時間は過ぎていきました。

私も友人も元々ノリやすい性格もあり、ちっとも抵抗なく童心に戻って、素直に物語の世界へ入り込み、楽しく夢中になったのでした。


なぜだろう?


それは多分、大人も子供もスーッと入っていける絵本の不思議な力に魅せられ
先生もメンバーも心から純粋に一緒に楽しんでいることを感じたからではないでしょうか。

あとでメンバーにお話しを伺ったら、月に一度のこの読み聞かせ会が本当に楽しみとのことで
皆さんとてもお若くてキラキラして素敵な女性たちでした。

先生とも一緒に写真を撮ったり、少しお話しをさせていただいたりしましたが
直木賞作家というエライ先生なのに、全く相手に緊張感を与えない不思議でやさしーい、おだやかーな方でした。


私はこの読み聞かせに行くまで、だいぶ絵本から遠ざかっていたのですが蘇った童心に火がついて最近は子供の頃に好きだった本をいろいろ集めて読んでいます。
読むと昔とは違った感じ方をしたり、いろいろと作者の込めた思いに気付いたりするのも楽しい。

でもあの頃のワクワク感はそのまま!

それから最後に気付いたのですが、今回は全て先生の作品以外の絵本でした。
先生の作品はメッセージ性が強いから、小学生くらいの子供たちが集まる時に読むのでしょうか。

私も友人も「おおきなかぶ」以外は知らなくて
「むかし、むかし、あるところに・・・」で始まるような懐かしいものはなかったです。

でも最近の絵本や児童書は挿絵はカワイイし、面白い本がたくさんありますねー

宮西達也さんの「おまえうまそうだな」や「シニガミさん」シリーズなど
大人でも最後にキュンとしてしまうような作品もあって、あなどれんなーと思っています。

これからは絵本や児童書もいろいろ読んでいくぞーっ!

あぁ、また、読みたい本がいっぱい・・・。

でも、シアワセー


by まっすー(masuzaki)
posted by 本toちば at 13:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 本読み放浪記
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